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たー坊の日記

読むこと、聞くこと、書くこと、世界の探求

文学

『騎士団長殺し』のどこがすごいか

村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』を読みました。 毎度の馬鹿自慢になりますが、このタイトルのもととなったモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」について僕は何も知りませんでした。 でも、ちゃんと小説を読めば、予備知識が皆無でも「ドン・ジョ…

あなたの中にブルックナーはいるか? 高原英理『不機嫌な姫とブルックナー団』

クラシック音楽の読み物は、難解になるものが少なくない。 ことば自体が馴染みの薄いイタリア語だったり、何を指しているのか分からなかったりすることが多いからだ。 音楽経験がないと、アダージョの意味を覚えたり、ハ短調とは何かを理解するのも困難であ…

つなぐこと 角田光代『八日目の蟬』

読んでいて、ふと「制度から疎外されるとこれほどまで生きづらいものか」と思った。 『八日目の蝉』の前半は、不倫相手の赤ん坊をさらった野々宮希和子の逃亡生活が描かれている。 そのように書くと陰鬱な話を予想されるかもしれないが、どこにでもいそうな…

サミュエル・ベケットの現代性について考えてみる

サミュエル・ベケットには、「ある」と「ない」の運動しかない。 同時代の同じアイルランド人作家のジェイムズ・ジョイスの複雑さに比べたら、ある意味シンプルですらある。 そのシンプルさゆえに、芝居を見る者を驚かせ、やがて胸を打つ。 「ロッカバイ」の…

空っぽの入れ物と無関心 四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

あらすじのつもりが、思いの外、大部の抜き書きになってしまいました。 そのつもりでお読みください。 タイトルからして、どこか既視感がある。 吉本昭洋は、中学2年の時に中原中也の詩集と出会い、詩にとりつかれる。 トタンがセンベイ食べて 春の日の夕暮…

文学理論といふもの 間テクスト性の間(はざま)で

ことばというものは、一対一で対応していません。 廣野由美子『批評理論入門』を読んだばかりなのですが、たとえば、この「批評理論入門」ということばが指示する事態は、一筋縄ではいきません。 まず、「批評理論入門」は僕の手元にある一冊の本を指示しま…

「十分間、時間を欲しいの」 村上春樹さんの読者を引きつけるテクニック(?)と読書スピード

十分間、時間を欲しいの。 失礼ですが、どちらにおかけですか? あなたにかけているのよ。十分だけでいいから時間を欲しいの。そうすればお互いよくわかりあうことができるわ。 『ねじまき鳥クロニクル』の冒頭のセリフを抜き出してみました。 謎めいたやり…

冒頭からネタバレ?『ロング・グッドバイ』を読み返す

“The first time I laid eyes on Terry Lennox he was drunk in a Rolls-Royce Silver Wraith outside the terrace of the Dancers.” Raymond,Chandler. The Long Good-bye. PENGUIN BOOKSより。 これはレイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』の最…

ねじまき鳥クロニクルの系譜学

今日もグズグズしている。 — nakayama (@teketekeCm) 2015, 8月 30 電話があったけど出なかったので、物語が始まらなかった。 — nakayama (@teketekeCm) 2015, 8月 30 井戸にまつわる話が何かあるかもしれない。調べてみようっと。 — nakayama (@teketekeCm)…