違和感のマーラー
グスタフ・マーラーの第一印象は、不快でした。
初めて聴いたのは交響曲「大地の歌」でしたが、最初のテノール歌手でつまずきました。
第1楽章は「現世の寂寥を詠える酒宴の歌」というタイトルを持っていますが、いま聴くとちょっと笑えます。
寂寥なのかもしれないけど、酒宴だからでしょうか。
いってみたら「めっちゃ寂しい」って、テノールが真剣に怒鳴っている感じなのです。
聴いてる側は、最初から違和感と疑問符だらけです。
そんな幸福とはいえないマーラーとの出会いでしたが、なぜか交響曲全集を買ってしまいます。
- アーティスト: Leonard Bernstein
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テレビのクラシック中継でも、マーラーは結構とりあげられたりするし、世間的には評価が高いですから。
でもいくつか聴いてみると、やっぱりちょっと変なのです。
交響曲第1番の第1楽章は、しばらくカッコウが鳴いています。
ベートーヴェンの第9以降、交響曲を書くのは大変な難事業になったといわれています。
ブラームスは交響曲第1番を書きあげるのに、実に21年かかったそうですが、マーラーの1番は、「カッコー」「カッコー」で始まります。
静かな始まり方なので、僕はよく寝る前のBGMとして使っています。
ベートーヴェンを基準にすると、マーラーはわかりにくいです。
交響曲といえばソナタ形式ですが、マーラーの1番の第1楽章を聴くと、どれが主題なのかよくわかりません。
カッコー?
それから、いくつかの交響曲はものすごく長いです。
CD1枚におさまらないぐらいです。
ちなみに、CD1枚のボリュームを決めるときに、CDの開発者がカラヤンにどれぐらいがいいか訊ねたところ、カラヤンは第9がおさまるぐらいがいいと答えたとか。
この話の真偽は定かではありませんが、確かにCD1枚は70分ぐらいになっていると思います。。
マーラーには90分を超える大作がありますが、CD1枚にはとてもおさまりません。
大作と言えば、交響曲第8番「千人の交響曲」もすごいです。
まずジャケットのインパクトがすごいです。
- アーティスト: バーンスタイン(レナード),ロンドン交響楽団合唱団,スポーレンベルク(エレナ),ジョーンズ(ギネス),アンニアー(ゲニス),レイノルズ(アンナ),プロクター(ノーマ),ミッチンソン(ジョン),マーラー,ロンドン交響楽団
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曲自体は、出だしをテレビとかで聴いたことがあると思います。
合唱から始まるわけだから、第9の反対のような気がします。
マーラーの交響曲には、そういう引用もちりばめてあると思います。
僕はベートーヴェンやショパンじゃないかと思うフレーズを確認していますが、交響曲第5番の第1楽章はメンデルスゾーンの結婚行進曲を意識していると思います。
あの結婚式の時にかかる曲です。
ただマーラーの場合、あのメロディーを葬送行進曲とよばれるものに変えてしまいます。
僕が少しだけ聴いた印象では、マーラーへの違和感は、有名なもの、聴いたことがあるものを、ひっくり返し、反対にするところなどに由来するような気がします。
マーラーはボヘミア出身のボヘミアン(流浪者)を自称していたそうですが、音楽への深い造詣と独特のユーモアが音楽に込められているのかもしれません。