たー坊の日記

読むこと、聞くこと、書くこと、世界の探求

グルダの美学

マルタ・アルゲリッチの伝記を読んでいました。

アルゲリッチが故郷のアルゼンチンを離れ、オーストリアのウィーンで師事することになるのがフリードリヒ・グルダです。

アルゲリッチは「グルダの美学」に惚れ込んでいました。

一般的にピアノソナタでは、男性的な第一主題と比べて、第二主題は静かで柔らかく女性的なのだそうですが、グルダのリズムは変わらず、妙なしなを作ったりしないのだそうです。

はじめにリズムありきということでしょうか。

へえ、そりゃどんなものだろう?という好奇心から、グルダベートーヴェンピアノ曲集を購入して聴いてみました。

ピアノソナタ第17番「テンペスト」を聴いていると、グルダの演奏は正確な打鍵で安心感があります。

名だたる巨匠でも音を外しまくる人が時々いて、落ち着かない気分になることがありますが、その点ではこの師弟は心配しなくてもよさそうです。

テンペスト」みたいな起伏の激しい曲でほっとするというのも、おかしな話ですが。

ヘッドホンで聴きながら酒を飲んでいたのですが、3楽章のなんともいえず伸びてくる高音と低音を繰り返し聴いていると、時間が経つのが惜しいと感じました。

圧倒的な技術と陶酔感。

おかげで翌日は二日酔いでつらかったです。

 

 

Beethoven: Piano Sonata No. 1-32, Piano Concertos No. 1-5

Beethoven: Piano Sonata No. 1-32, Piano Concertos No. 1-5

 

 

『騎士団長殺し』のどこがすごいか

 

村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』を読みました。

毎度の馬鹿自慢になりますが、このタイトルのもととなったモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」について僕は何も知りませんでした。

でも、ちゃんと小説を読めば、予備知識が皆無でも「ドン・ジョヴァンニ」がどんな話かぐらいは頭に入ってきます。

それとは別に、「ドン・ジョヴァンニ」という作品には、歴史の中での立ち位置があります。

オペラということでなじみが薄いのですが、第一級の作品であることは疑いようがないかと思います。

なんか、そこは盲点だったのですが、僕はマイナーなオペラぐらいにしか思っていなかったのです。

教養がないのですね。

ドン・ジョヴァンニ」をモチーフにしたということは、村上さんはヨーロッパのカルチャーの本流に果敢に切り込んでいるのだと思うのです。

だって、下手にモーツァルトなんかをパロディにしたら、底の浅さとかが、分かる人には分かってしまうじゃないですか。

僕なんかはその自信とかにも舌を巻いてしまいました。