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たー坊の日記

読むこと、聞くこと、書くこと、世界の探求

『騎士団長殺し』のどこがすごいか

 

村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』を読みました。

毎度の馬鹿自慢になりますが、このタイトルのもととなったモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」について僕は何も知りませんでした。

でも、ちゃんと小説を読めば、予備知識が皆無でも「ドン・ジョヴァンニ」がどんな話かぐらいは頭に入ってきます。

それとは別に、「ドン・ジョヴァンニ」という作品には、歴史の中での立ち位置があります。

オペラということでなじみが薄いのですが、第一級の作品であることは疑いようがないかと思います。

なんか、そこは盲点だったのですが、僕はマイナーなオペラぐらいにしか思っていなかったのです。

教養がないのですね。

ドン・ジョヴァンニ」をモチーフにしたということは、村上さんはヨーロッパのカルチャーの本流に果敢に切り込んでいるのだと思うのです。

だって、下手にモーツァルトなんかをパロディにしたら、底の浅さとかが、分かる人には分かってしまうじゃないですか。

僕なんかはその自信とかにも舌を巻いてしまいました。

 

 

第九コンサートに行ってきた。

先日、第30回「県民による第九」というコンサートに行ってきました。

会場は一階席がほぼ満員という盛況ぶりで、「県民による」という修飾どおり、若い人からお年寄りまでいろんな人が集まっていました。

チラシを見て「ブルックナーやるん?」という声が聞こえてきたかと思えば、後ろの席からは「第九って何分ぐらいあるの?」という会話が聞こえてきたり、客層も普通のクラシックの公演と比べたら幅広いだろうと思いました。

そもそも僕自身がクラシックの素人です。

 

オケは鳥取市交響楽団でしたが、第九ですから合唱団もいます。

案内の小冊子には合唱団のひとりひとりの名前が出ていて、「wow!同級生?」と思われる名前を発見しました。

「あの子ももうおばさんになったんだろうなぁ」などと感慨にふけっていたのですが、しばらくして名前の漢字が違うことに気づきました。

参加者手作りを謳う「県民による第九」らしく、どうも距離感が近いらしいのです。

 

童謡ふるさとで開演し5分で終わると、いきなり10分休憩というサプライズがありながらも、第九の演奏が始まりました。

「あれ?音が外れたかなぁ」とかちょっとした違和感がしばしばあって、なかなか演奏に集中することができません。

市民楽団ですから、働きながら練習されている方ばかりなので、やむを得ないかと思います。

客席の集中力は演奏の鏡になっていて、他の観客をみれば演奏の状態が判断できるみたいです。

 

それでもティンパニーなんかは、見てて楽しかったです。

文化系っぽい女性が、リズムを取りながらひとりでティンパニーを叩く姿からは、思わず「責任」という言葉を連想したりしました。

間違えたりすると、演奏を壊しかねないからです。

他のお客さんもそう感じたのか、終演後、ティンパニーは一際大きな拍手をもらっていました。

 

それでも第九といえば、やはり第4楽章、歓喜の歌です。

僕は初めてプロの声楽家の歌を聞いたのですが、ものすごい迫力でした。

CDで聴くオペラよりずっといいと思いました。

また100人の合唱団が声を合わせると、胸にぐっとこみ上げてくるものがありました。

ベートーヴェンは第九で音楽の歴史を逆回転させているそうです。

西洋音楽バロック以前の単声のグレゴリオ聖歌から始まったといわれています。

単声から始まり、和声があって、という音楽の歴史と、人間の歓びという根源的な感情。

それらをミックスさせたものが交響曲第九番の大きなモチーフなのだろうと思います。

 

 

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