2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

もしも、わらびが会計事務所に勤めていたら

僕にはそのことを実証する資格も能力もないのだけど、1980年代の日本には仮定法が広がっていたのではないかと思う。 いまの日本は同じ if 節でも、どちらかといえば条件節で現実的な考え方をするが、80年代はもっと仮定法過去のように考えたのではないか。 …

1989年のおかっぱ女子

僕が思春期まっ只中の1989年だった。 僕はろくすっぽ人の目も見ないで話す、ダメな男子の一人だった。 ときはバブル景気華やかなりし頃。 テレビはバラエティ全盛のお祭りだった。 夕方、学校から帰ると「夕やけニャンニャン」を毎日やっていたころなのだ。 …

峠のモーツァルト ピアノ・ソナタ第8番

モーツァルトのピアノ・ソナタ第8番を聴いていると、山の奥深くにある峠を走る車の中のことを思い出す。 今から30年も前のことである。 ぐねぐね曲がりくねった急カーブだらけの道を走ると、車の中は遠心力で人も物も外に投げ出されそうになる。 次のカーブ…

自立とつなぐこと 角田光代『八日目の蟬』

読んでいて、ふと「制度から疎外されるとこれほどまで生きづらいものか」と思った。 『八日目の蝉』の前半は、不倫相手の赤ん坊をさらった野々宮希和子の逃亡生活が描かれている。 そのように書くと陰鬱な話を予想されるかもしれないが、どこにでもいそうな…