サミュエル・ベケットの現代性について考えてみる

サミュエル・ベケットには、「ある」と「ない」の運動しかない。 同時代の同じアイルランド人作家のジェイムズ・ジョイスの複雑さに比べたら、ある意味シンプルですらある。 そのシンプルさゆえに、芝居を見る者を驚かせ、やがて胸を打つ。 「ロッカバイ」の…

青の時代 電気グルーヴ「A recycled」

レコードプレイヤーを買ったら、昔のことが少し懐かしくなりました。 大学生のころ何回か通ったクラブでは、DJがアナログのレコード盤を回していました。 クラブというのは、僕の友達によれば、どんな人でも来ていいところでした。 実は敷居が高くて紹介とか…

違和感のマーラー

グスタフ・マーラーの第一印象は、不快でした。 初めて聴いたのは交響曲「大地の歌」でしたが、最初のテノール歌手でつまずきました。第1楽章は「現世の寂寥を詠える酒宴の歌」というタイトルを持っていますが、いま聴くとちょっと笑えます。寂寥なのかもし…

おれ、音楽沼にはまる。レコードプレイヤーまで買ってしまった。

横浜、たそがれ、ホテルの小部屋♪ 自宅の小部屋からすいません。 音楽ネタがつづきます。 やれクラシックだ、ハイレゾだ、いってたら、とうとうアナログの音が聴きたくなってしまいました。 もうね、これは沼ですよ。 音楽沼。 最初は図書館で粛々とクラシッ…

レナード・バーンスタインのベートーヴェン交響曲第7番

バーンスタインといえば、カラヤンと並び賞される20世紀後半を代表する指揮者です。 3人目になると意見が割れるのは世界3大オーケストラでも同じですが、バーンスタインとカラヤン、ウィーンフィルとベルリンフィルは堅いと思います。 僕がクラシック好…

体験的読者論

僕は30代になってから、村上春樹の小説を読み始めた。 もっと若い頃に読んだこともあったが、いまひとつピンとこなくて熱心な読者になることはなかった。 なんというか少し暇になったこともあって、ひとりの作家を追いかけるということを始めてみようと思っ…

つれづれなるままに 日暮らし 硯にむかひて 「Kiss4月号」

Kiss4月号に「のだめカンタービレ」の読み切りが掲載されています。 僕は単行本で読んでいて、しかも未だ完読してないのですが、Kissを読んでみました。 ツイッターで予告があったとおり、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番でした。 ラフマニノフといえば、…

なんでもベスト5 哲学書編

第5位 純粋理性批判 イマヌエル・カント 純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫) 作者: イマヌエルカント,Immanuel Kant,中山元 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2010/01/13 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 73回 この商品を含むブログ (41件) を見る…

貯水槽の上の美少女 ほしよりこ『逢沢りく』

まず、このマンガの特徴は、上下巻以外、ひとつも区切りがないことです。 第何話というような切れ目が一切ありません。 だからどこで一息つくとか、読者は自分で判断することになります。 なんでもないことに思われそうですが、この作品のテーマに「技巧」が…

相似するものたち 雪かき仕事とテンペストとグレン・グールド

最近時々、家で皿洗いをするようになった。 同居する母親がほとんど家事をしてきたのだけど、徐々に役割分担をしていこうという空気になってきたからだ。 皿洗いをしていると、やるべきことが目の前に積まれているのに気づく。 面倒だなぁと心を曇らせながら…

これはスゴい!ハイレゾでベートーヴェン交響曲第7番を聴いてみた!

クラシックにもポップな曲があるなと思ってはまったのが、ベートーヴェンの交響曲第7番でした。 ポータブルヘッドホンアンプを買ってハイレゾ環境に対応、模索を始めたのだけど、ある意味、出来上がってしまったかもしれない。 音楽の場合、たくさんの要素…

空っぽの入れ物と無関心 四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

あらすじのつもりが、思いの外、大部の抜き書きになってしまいました。 そのつもりでお読みください。 タイトルからして、どこか既視感がある。 吉本昭洋は、中学2年の時に中原中也の詩集と出会い、詩にとりつかれる。 トタンがセンベイ食べて 春の日の夕暮…

日本の現代国語教育の問題点と対策

僕はもう20年以上前に高校を卒業した人間ですが、その当時、現代国語というのがどうにも解せない科目でした。 今はどうか知りませんが、評論文や小説の断片や短篇を読まされるんですよね。 高校生ぐらいになれば、辞書さえあれば日本語で書かれた文章なら、…

愛というにはほど遠いけれど 魔法少女まどか☆マギカ

先日「魔法少女まどか☆マギカ(全12話)」を通して見ました。 そして今朝「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ(前編)」を見ていたのですが、シーンもセリフも基本的には同じだったので、ちょっと暁美ほむら的な冷めた目で見てしまいました。 どちらかというと考…

雪化粧

昨晩から今日にかけて雪が降りました。 外に出てみるとうっすら雪が積もっています。 これは午後の鳥取市内です。 幹線道路ではない道で、日陰のところは、アイスバーン状態になっていました。 危険なので、車のスピードを落とします。 山間部に行くと、雪が…

ボトルネックの不思議

ボトルネックということばを聞いたことがあるだろうか。 ビジネス書のタイトルで、ボトルネックを解消しなさい的なものがあったら、それはこういうことだ。 音楽のオーディオシステムをイメージしてほしい。 単純なところでは、iPhoneにイヤホンを指しただけ…

iPad Air2のベストな画面ポジションを発見した!(右利き用)

iPad Air2を購入して1年と2ヶ月。 僕はホームボタンが下にくる画面設定にしていました。 デフォルトだとそうですよね。 デザインがiPhoneをそのまま大きくした感じだし、iPad Air2でもなんの疑いもなくそうしていました。 映像をみるときは、横にくるっと回…

言葉の魔法 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカを見ています。 普段ほとんどアニメは見なくて、あ、でもネットで無敵超人ザンボット3も見てるかな。 とにかく、DVDで見た新世紀エヴァンゲリオン以来、久々にアニメにはまっています。 しかしこれは男の習性なのでしょうか。 1本見終…

鳥取砂丘コナン空港に行ってきた

先日、鳥取砂丘コナン空港に行ってきました。 ふらっと写真を撮りに行って、お迎えとお見送りをしてきました。 屋上送迎デッキに上ると、北には日本海と滑走路が見えます。 滑走路の側には「ようこそ鳥取へ」の文字も見えます。 南には駐車場の向こうに湖山…

背筋を伸ばしたくなるマンガ 高野文子『黄色い本』と『るきさん』

高野文子さんの『黄色い本』の表題作「黄色い本」を読みました。 何かで素敵な読書論になっているとの評を読んだからです。 若い人に混じって書店のマンガコーナーをうろうろ探していると、だんだん場違いなような気がして恥ずかしくなったのですが、「読書…

クラシックオムニバスのハイレゾ音源を買ったのだけど・・・

ハイレゾ音源を購入した。 去年の大晦日にテレビ東京系の年越し番組ジルベルト・コンサートで演奏されていた「ボレロ」を含むクラシックのオムニバスだ。 これでハイレゾ音源では二つ目のアルバムである。 「ボレロ」の他にも、ロッシーニの「泥棒かささぎ」…

大晦日に、Another Sky

大晦日になりました。 帰省されている人も多いですね。 慌ただしさと同時に、今年もなんとか一年の締めくくりを迎えることができそうだという幸せな気分になります。 NHKでは紅白歌合戦があり、第九のコンサートも放送されます。 そんな日になんですが、僕は…

ノマド・ドゥルーズ・アナグラム

本棚の整理をしていたら、ノマドロジーということばが目に留まりました。 篠原資明『ドゥルーズ』のサブタイトルですが、これってあのノマドワークと関係あるのかなぁと思いました。 常見陽平『自由な働き方をつくる』によると、ノマドとはもともと遊牧民と…

雨は夜更け過ぎに 雪へとかわるだろう

今夜はクリスマスイブです。 僕は、おかざき真理『ずっと独身でいるつもり?』とか、あずまきよひこ『よつばと』とか、村上春樹『風の歌を聴け』とかをちょっとずつ読みながら、酒をあびるように飲んでいます。 ツイッターをみると、リア充さんは街に繰り出…

アップルウォッチの使える機能はなにか

アップルウォッチを買って2カ月が経とうとしています。 特筆すべきは朝起きてつけると、風呂に入るときぐらいしか外さない生活が、ずっと続いているという事実です。 腕時計って手に違和感を感じて、すぐに外して机の上に置いたりするたちなので、アップル…

あの人は、なぜあんなに知的体力があるのか?   西林克彦『わかったつもり〜読解力がつかない本当の原因』

自慢にもなりませんが、僕と出会い、すれ違っていった多くの友人、知人たちが、現在、研究職や専門職についています。 中には授業に1度も出ずに、試験の採点講評だけ聞きに来た大学の先輩とかもいて、すごいなと思ったりしましたが、単に図々しいだけだった…

続・ハイレゾ体験記  NePLAYERでパフォーマンスを診断する

ハイレゾ体験記が終了しても、ハイレゾ熱というか音楽熱、オーディオ熱はいっこうにおさまりません。 どうしたらいい音が聴けるかの探求は続いています。 レポートで、ハイレゾは結構いい音だ、という感想を書きましたが、手元の環境でどの程度のサンプリン…

文学理論といふもの 間テクスト性の間で

ことばというものは、一対一で対応していません。 廣野由美子『批評理論入門』を読んだばかりなのですが、たとえば、この「批評理論入門」ということばが指示する事態は、一筋縄ではいきません。 まず、「批評理論入門」は僕の手元にある一冊の本を指示しま…

ハイレゾ体験記  第8回 iPhoneでハイレゾを聴く

おはようございます。 長々とレポートしてきましたが、今回で最終回となりました。 何度か書いてきたように、ハイレゾを聴くとは、音源の選択からアンプ、スピーカー、イヤホンまで、自分なりのシステムを構築することです。 自分がここまではまるとは思って…

ハイレゾ体験記  第7回 Macで試行錯誤する

おはようございます。 このレポートも7回目まできましたが、実際にオーディオ機器をいじりはじめると、自然に技術的なことを勉強するようになります。 USBケーブルをあちこちつなぐのと同時に、知識もネットワーク状に強化されていきます。 まだまだ知らな…